
掲載日:2011年03月25日
ニーズを把握することともに、コーディネーターにとって大事なのは、自分の強みは何なのか、を把握することです。例えば、たくさんの面白いアーティストとのネットワークを持っていることが強みなのか、アーティストと一緒に子どもたちの中に入ってワークショップのファシリテーションをすることが得意なのか、あるいは、行政や企業とのネットワークを持っていることなのか、など、それぞれ強みがあると思います。それらの強みを最大限に発揮して、目標を達成することが肝要です。
全体を俯瞰する視点を持ちつつ、各現場での細やかな調整役を果たしていくこと、その両方を間断なく続けることがコーディネーターの役割と言えるでしょう。プロジェクトの目指す方向・目標のイメージを持つこと、そして活動しながら常に考えること、イメージを膨らませていくこと、さらにイメージを変化させていくこと、そんなことをコーディネーターは、子どもたちとアーティストと学校の先生たちとの間に立ちながら考えていくことが必要だと思います。
さて、未曾有の大きな災害となった今回の震災をうけて、被災地の子どもたちや不安を抱えた子どもたちに対して、何ができるのか...、アーティストと子どもをつなぐコーディネーターという立場の私がいま悩んでしまうのは、対象となるような子どもたちが何を必要としているのか、現場はどのような状況にあるのか、自分の強みを現場にどのように活かすことができるのか、そのようなことがまだ分かっていないからだと思います。いま現在は歯がゆい思いをしていますが、今後なんとか私なりにできることを考えて、小さなことから始めたいと思います。そして、継続的に活動ができるような仕組みを考えて、"震災後の子どもたち"が、いきいきと自分を表現し、他者とつながっていく機会を提供するようなスキームを長期的展望のもと、つくっていけたら良いと思います。1965年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。87~97年、東京ガス㈱に勤務。その間に超高層ビルの建設運営業務に携わり、そこのホールやギャラリーで「パークタワー・アートプログラム」として、音楽やダンスの舞台公演や美術展覧会を数多くプロデュース。若手振付家が新作を競演する企画「ネクストダンスフェスティバル」は、97年度のメセナ大賞普及賞を受賞。その後、芸術普及NPO「アーツフォーラム・ジャパン」や大阪府立大型児童館「ビッグバン」の勤務を経て、99年秋からエイジアス(ASIAS:Artist’s Studio In A School)を企画構想、00年7月からスタートさせる。活動の拡大に伴い、01年7月「特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち」を設立、代表を務める。03年3月、エイジアスを中心とする団体の活動が認められ、「アサヒビール芸術賞」を受賞。04年8月からは、東京都豊島区の廃校となった中学校(にしすがも創造舎)に拠点を移し、区との協働のもと、地域向けプロジェクト「ACTION!」を始動。学校教育と地域(まち)という2つのフィールドで子どもに関わる事業を展開している。著書に、「子どもたちの想像力を育む アート教育の思想と実践」(共著/佐藤学・今井康雄編/東京大学出版会)、「子どもたちのコミュニケーションを育てる」(共著/秋田喜代美編/教育開発研究所・教職研修増刊)。