【第2回】アーティストと子どもをつなぐコーディネーター
~小学校でのワークショップ型授業:コーディネートの実際 (1)~

 私が自身のNPOを立ち上げ、ASIAS(Artist’s Studio In A School、エイジアス)の活動を始めてから11年余りが経ちました。その間に、都内公立小中学校、幼稚園、保育園を中心に、約450箇所(延べ)で現代アーティストによるワークショップ型の授業を実践してきています。振付家、作曲家、美術家、演出家などと、担任や専科の先生との協働による授業を体験した子どもたちは、約23,000人に達しました(2011年度予定を含む)。
各学校における現場のコーディネートは、最近は私自身ではなく、当NPOの事務局スタッフが担うことが多くなりましたが、コーディネートにあたっての基本的な考え方や方法はスタッフ間で共有し、かつ、現場ごとの課題や問題点は互いに相談しながら業務を進めています。ここでは、そんなASIASにおける小学校現場でのコーディネートの実際を、簡単にまとめてみようと思います。

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1.学校とつながる(1)―直接、先生と。

 ASIASを実施することになる学校と、はじめにどのようにして出会うか、というと、以前は、言ってみれば点と点によるつながり、というようなものでした。2000年に、たまたま知っていた先生を頼って、都図研*1の研究局の集まりに出向きASIASの構想を紹介したのが学校とつながる最初でした。その後、図工の先生とのネットワーク以外にも徐々に学校とのつながりを持てるようになります。
ASIASの授業を見学してくれた先生が興味を持ってくれたり、ASIASを実施した先生が他校の先生に紹介してくれたり、あるいは、当NPOが企画したシンポジウムに関心の高い先生が来てくれたり、ASIASに関する新聞記事やホームページを見て先生のほうから事務局に連絡をしてきてくれたり、、、。
 とにかく、どんなきっかけでもいいので活動に少しでも興味を持ってくれた先生との出会いは大切にしています。たとえ、すぐには授業が実現できなくても誠実にこちらの考えややり方を説明することが大事です。と同時に、相手の先生が何を考え、学級の子どもたちにどんな体験をさせたいと思っているのか、よく聞く姿勢が大事です。

2.学校とつながる(2)―自治体や教委を通じて。

 ここ5、6年は、自治体との関係によって、学校とつながる機会を得ることが多くなりました。教育委員会や自治体文化担当課の事業として、ASIASを実施するケースがそれで、自治体・教委からの公募により希望する学校が手を挙げ、そこに対して、当NPOのコーディネーターが連絡を入れる、というパターン。点と点でつながっていた学校との関係が、面でつながるようになったわけです。該当する自治体内のすべての公立小(中)学校に情報が行き渡り、かつ教委や自治体の名前で公募がなされるので学校に対する信用も増す。そのおかげで新しい先生と出会う機会が飛躍的に増えました。

しかし、その一方で、勘違いのような応募もあるので注意が必要です。単に鑑賞型の授業だと思っていたり、先生としては授業時間を空けておけば、あとは何もしなくていい、おまかせ授業だと思っていたり。こんな勘違いを減らすためにも、教委や自治体が配布する募集通知には、十分な配慮が必要です。簡潔に説明しながら、現場の先生にとってイメージがわくような参考資料を付けるなど、基本的にはNPO(コーディネーター)側で資料を作成するほうが良いと思います。
 また、学校公募の場合、管理職(校長や副校長等)が積極的であるけれども、担当の先生は重荷に思っている、というのもときどきあるケースです。この場合は、とにかく、担当の先生のモチベーションをあげることを第一に考え、先生の意向を尊重しつつ、こんな面白いこともできる、子どもたちにこんなに素敵な機会を与えられる、ということを分かってもらう努力をすることが必要です。たとえ出会う時点では消極的な気持ちだったとしても、子どもたちにいいことだと分かれば、ほとんどの先生はやる気になってくれると思います。

3.学校とつながる(3)―アンケートを通じて。

 学校とのつながり方で、アンケート(実施希望調書)をNPO(コーディネーター)からダイレクトに学校へ送る、というやり方もあります。当NPOは、ここ三年ぐらい、都内公立小中学校の特別支援学級(知的・情緒等)に対してこの方法をとっています。この場合、だれ宛に送付するかが大事で、多忙な”管理職宛て”だとなかなか興味を持って内容を見てもらえない可能性が高く、”特別支援学級の担任の先生宛て”に送るとかなり反応が良いことがわかりました。この場合も、送付書類に、どういう事業でどんなことを大事にしているのか、学校側は何をすればよいのか、実施の流れ(スケジュール)はどのようになっているのか、などを簡潔にわかりやすく説明したうえで、サンプルとなる実践事例を添付しています。